2010年05月19日

『18 頻繁さが全て』

 こんにちは、猫耳DMことVOCALOIDな界隈では切身魚の人です。
 Andrew Dubber氏の無料e-booksで配布されている著書、『オンライン音楽について知っておきたい20のこと』(原題"The 20 Things You Must Know About Music Online"
)は大変知的に刺激を受ける良い論文です。
 20個ほどの、優先順位はないのですが、いずれも重要な『オンラインでの音楽ビジネスについて、知っておけ!』なお話が収められています。
 私が今日読んでみたのは『18 頻繁さが全て』です。本当に読みながら「うんうん」と首肯することしきりでした。
 正確で、実用新書のように論理的な日本語訳はheatwaveさんのブログでご覧いただけます。より理解を深めたい方はぜひご覧下さい。
http://peer2peer.blog79.fc2.com/blog-entry-1427.html
http://peer2peer.blog79.fc2.com/blog-entry-1624.html
 ここでは私の意訳を交えた引用つきで、その内容を少しご紹介いたしますね。以下の()内は私の注釈です。

 ウェブサイトを訪問してもらうだけでは不十分です。訪問者には『再度』訪問してもらわないといけません。彼らが『再度』訪問してくれる理由はただ一つ。
 「サイトを覗く度になにか新しいものがある」ということ。

 優れたコンテンツのある、見栄えの良いウェブサイトを作ることも大切でしょう。
 ですがそれよりもっと重要なのは、定期的に変化するコンテンツを用意することなのです。RSSフィードの価値や、人々を購読者としてあなたに惹きつけておくことの重要性は、これまでに語った通りです。
 
 ところで、『RSS未登録』で『いつも訪問する』人ではない人々、『たまに訪問する』程度の人はどうでしょう。そうした『たまに来る人』でも、来る度に新しい情報が詰まった『記事』や『見るべきもの』たくさんあれば、あなたのウェブサイトを魅力的だと思ってくれるでしょう。
 そうしてちょくちょく見てくれるようになれば…、もしかしたら彼らはクレジットカードをご利用になるかもしれません。(切身魚注:つまり、あなたの音楽やコンテンツを買ってくれるかもよ?という事です。)

 毎日のように更新しているサイトが『アクティブで、新鮮で、活気がある』ウェブサイトだと思われる一方で、放置されたウェブサイトや利用されていないフォーラムは、元気がなく放棄されたように見られてしまいます。
 ここでは、あなたのウェブサイトをフレッシュで、常に最新のものにし続けるためのヒントをご紹介しましょう。
 
1. コンテンツ・マネジメント・システムを使う

 あなたのウェブサイトは修正が簡単ですか?何かを変更したり、コンサートの日時を追加するたびに、ウェブデザイナーの助けを必要とはしていませんか?

 最近では、あなたの既存のウェブサイトに統合したり、(残念ながら若干古くさくなってきた)あなたの今のサイトを、一括処理で置き換えたりできる優れたコンテンツ・マネジメント・システム即ち『CMS』パッケージがあります。
 CMSを利用すれば、ウェブ技術のスキルなどなくても、朝でも昼でも、あなたのウェブサイトをいとも簡単に、あっという間に更新できます。レイアウトやデザイン全般に至るまで、あなたの代わりにやってくれるのです。ウェブ・デザイナーに電子メールを送るよりも簡単でしょう?

 一部のコンテンツ・マネジメント・システムは無料で提供されています。このサイトではWordpressを利用していますため、私はWordPressを一番にお勧めします。他のCMSだとJoomlaも悪くはないかもしれません。たくさんのアクセサリーやプラグインが欲しいのなら(私は必要としてはいませんが)、特にお勧めです。

 もし、あなたにウェブ・デベロッパー(ウェブ宣伝担当)がついているのなら、CMSが欲しいと伝えてみましょう。主張しましょう。必要があれば、「CMSが無料で手に入ることも知っている」とさえ、言うのです。
 
2. 話すことはあらかじめ用意しておく

 何か思いついたことをそのまま投稿するのは止めましょう。
 話すことは前もって考えておくべきです。
 そりゃあ、「あなたがしていること」についてでも構わないのですが、それ以外でも、「私がこのブランドのギターの弦を好きな理由」とか「君の知らない当レーベルアーティストのヒミツ」、「あなたのCDを封筒に入れてくれているバイトの子へのインタビュー」などでもよいでしょう。
 
3. 他所からコンテンツを引っ張ってくる

 既存のコンテンツを利用することは悪いことではありません。もちろん、きちんとルールにのっとっていることが前提です。
 それは、単にコピー&ペーストすることではありません。
 学問の世界で自然に行われているように、他の誰かが話した有益な言葉を、文脈に当てはめて用いたり、説明したり、コメントするという形であなたのウェブサイトに持ち込むことをお勧めします。
 正直なところ、あなたが関わる音楽産業の問題点を指摘している人は既にたくさんいます。往々にして一番大変な仕事(切身魚注:業界の問題点を鋭く指摘すること)は、そうした人たちがやってくれていたりもするんですよね。

 私がこんなことを言ってたなんて内緒ですよ?

4. 時事ネタについて語る

 時事ネタを使って、それをあなたに絡めて話してみましょう。他所からコンテンツを引っ張ってくるのと同じように、 他の出来事を出発点にして、あなたの視聴者にとって価値あることを、そこに付け加えるのです。
 
5. オンラインで補足してオンラインで投稿する

 ギグをする、プロモーションをする、プレスリリースを出す、アルバムを1,000枚売り出す、おもしろい原石を見つけた(切身魚注:おそらく原石のような新人と言う意味でしょう。)、などなど、どんなことでも、写真を撮り、文章を書き、それをインターネットに載せましょう。EPを出す、コンサートをやるといったことだけでなく、あなたに関連する『すべてのこと』を。

 頻繁さ、頻度には不思議な効果があります。
 頻度の高さは、あなたがプロフェッショナルで、忙しく、人気者であるかのように思わせてくれるのです。
 たとえば、「イヤッホオォオォォォオウ!ついにアルバムがリリースされたー!」と投稿したのを最後に、その後1年にわたってそのメッセージがトップに残り続けたら、どう思われるでしょうね?
 きっと、
「あの投稿を最後に、今までの一年間は何も特筆できるようなイベントはなかったんだな・・・」
 と推測されるでしょうし、『何もなかった』ということはあなたに価値がないように思わせてしまいます。

 人は、「いま」起こっているものに時間やお金を費やしたいと思うものです。人が注目してくれない、あなたを見過ごしてしまうとなれば、
「あなたは視聴者にとって、追いかけ続けるほどの価値はなかった」
 ということを意味するのです。

 『金銭的な関わり』とは、パーセプション・マネジメント(認識管理)の成果なのです。認識してもらい、認識しつづけてもらいましょう。
 
 
 という風に、私家訳したあと、「ナウい感じ」の大事なことを痛感いたしました。あるいは、「俺達はエッジな場所で遊んでいる」という感覚とも申せましょうか。
 どんな人だって、ご自分の参加しているムーブメントや共同体、コミュニティの活動が『最先端』で、『時代という船の舳先』であると思うと、誇らしい気分になるものです。
 まして「ムーブメントに貢献している私」を実感するとなればもう、超格好イイじゃありませんか。大変クールです。達成感が得られます。
 それを私のように「人類の文化的多様性と歴史に貢献する小さな追加」とみなす人もいれば、「オイラってちょっとイケてる」とみなす人、認識方法は人それぞれです。共通するのは、これが『既存の他の場所や、他の文脈では得られない快感』だということです。
『ネットで、共通の趣味(音楽やイラスト、その複合体であるコラボや動画つくりなど)でしか得られない快感』
でもあるのです。
 
 他の文脈、例えばそれは職業上の生活、学業での成果や地域コミュニティでの活動を指します。
 個人の多様性が注目され始めたのが20世紀末のこと。注目された、ということが、即ち『個人的に価値を置く活動』の変化を社会が承認するようになったかどうか、は意味しません。21世紀になった今日でもそうです。
 例えば、一日の時間は24時間で、一般的な社会人にとって休日の日数は月にせいぜい8−10日です。
 それらを全部、『自分の支援する活動につぎ込みたい』と主張したくても、
『優先順位の低い自治会活動にもことごとく参加すべき(しかも活動の準備参加と、活動後の酒食提供も行うべし。お前が飲み食いしなくても出せ)』とか
『PTA活動に参加すべき(しかもメールや電話で済む話ですらことごとく夜間外出して対面で話し合いを設けるべき、とか、素人の発行する広報誌の、気にするレベルですらない細部まで、事細かに話し合いで決めるべきとか)』
 といった、社会の既存要求はなかなか変化しません。なんと魅力のない場所、嫌悪感を抱く文脈でしょうか。
 ありのままの『現状』というのは、
「若い人は自治会活動やPTA活動に興味がなくなった」
 のではないのです。
「現在の地域社会は、若い人や社会人の生活形態に合致した活動が出来ておらず、また多様な価値観の持ち主達に合意を得られるような金銭的・労働力的負担ではないやり方を継承して、それを自己検証もなしに強要している」
 だけなのです。
 例えば酒を一滴も飲まず、受動喫煙も大の苦手、必要な活動を短時間で効率よく行って、浮いた余暇は自分の個人的活動、特にネットでの活動に使いたい、という個人にとって、
『避難訓練に朝から出てきて、実際の訓練開始の10時までぼーっと雑談しながらたむろし、訓練終了後には打ち上げと称した酒盛りをするので各家から酒食を提供し、給仕と酌もするように。無礼な発言を当然のこととして口にする連中や、タバコを吸う連中にも我慢するように』
 と要求されたらどうでしょう?
 「仕事が忙しい」でも「興味ございません」でも、とにかく理由をつけて逃げ出したくなるに違いありません。こうした非効率的でメリットよりデメリットが大きな『地域社会活動』に貢献する優先度は、地球全体及び人類文化への貢献活動より低くならざるを得ないのです。
 同じお金や労力や時間をさしだすのなら、差別意識に基づいた無神経な物言いや非常識な行動を繰り返す人たちのためのお酒やご飯、一緒に過ごさざるをえない拷問時間より、感謝の心を知っている人たちや困っている人に非常食と緊急キット一式をあげるためのお金、労力、時間に使います。少なくとも私はそうです。
 「現在は若い人や社会人の生活形態に合致した活動が出来ておらず、また多様な価値観の持ち主達に合意を得られるような金銭的・労働力的負担ではないやり方を継承して、それを自己検証もなしに強要している」
 という現状を改善せずに、自治会費を支払いつつも活動には一向に興味も意欲ももてない人を指して、
「社会性が低い」
 と批判するのはたやすいことです。
 どのような活動であれ、注目や興味を引き付け、効率的に活動することで活動それ自体を『楽しいもの』、『目的とすべきもの』にできねばなりません。地方の社会から若者どころか老人も流出しているのは、その社会にとどまるべき魅力が無い、という根源的な理由があるのです。そして『魅力』とは、文化的な少数派や、価値観(特にお金と時間)の異なる人にもアピールするものでなくてはなりません。効率性への希求といったことも当然含まれます。
 それら根元的問題を都合よく忘れて、『何々祭りでの無料何々料理』や『何々ターン就活フェア』だのをやったところで、効果は一過性に過ぎないのではないかと危惧しています。
 翻って、そもそも興味を共有している集団での活動は、端緒からして圧倒的に有利なのです。活動それ自体を『楽しいもの』、『目的とすべきもの』としやすいですからね。
 
 また、死んだウェブサイトほど悲惨なものはありません。
 どんなにTweetしていようとも、ウェブサイトに記事が載らなかったらどういう感じを与えるでしょうか。
「Tweetする無駄話はあるけれど、ウェブサイトで特筆し、人々に共有して欲しいと思うようなイベントや話題がない」
 と思われてしまうに違いありません。実際のところ、Twitterをうさんくさそうな目で見る人たちの大半は、次のように感じている、と言っても良いと思います。大別すると、
「Twitterで単発的につぶやく話はあっても、blogやサイトで、何時でも誰にでも公開できる話ではないってことだね」
 とか、
「アーティストがTwitter外部の視聴者を無視するなら、こっちも彼らを無視するまでだ」
 とか、様々です。そしてそんな反応を引き出すということは、音楽ビジネスだけにとどまらず、オンラインビジネスという場においては、業績に良くない影響があることでしょう。
 
 現に私も、あるペイントソフト(TVPaint)の購入を一週間ほど検討して、結局見送ったことがございます。約6万円近いお金をかけて外国製ソフトの新しいインターフェースに慣れねばならず、何かトラブルがあった場合の対応は英文で書かないと遅いことが分かった挙句、ソフト導入で作業効率がアップするかははなはだぎもん、ということが理由にあげられますが、他にも理由はございます。
 ソフト会社の公式フォーラムが、日本語圏ユーザーに向けて作成したトピックは、まさに『18 頻繁さが全て』の通り。何ヶ月も前に投稿された記事が一件だけ。
 それ以外、彼らソフト会社は日本語圏ユーザーに注意を向けてもいなければ、日本語化への対応を推進してもいない、という事がよく分かるお話です。
「彼らが私たちを軽視する/無視するなら、私たちも同じ事をしよう。そういう会社の商品やサービスを手に入れても、何もいいこと無さそうだ」
 私はまさにそのように反応しました。
 この一事を全ビジネスに当てはめることは難しいかも知れませんが、自分のビジネスや、『非営利だけど有償』の活動に引き寄せて検討するなら、きっとお役に立つことでしょう。
 ウェブサイトやblogを持つということは、あなたの視聴者とつながりを持ち、維持する、ということです。彼らに疎外感や放置された感じを与えるのは、すごーくマイナスとなることでしょう。
 だから私は、原文にない一文を末尾に付け加えました。
 原文は、"『金銭的な関わり』とは、パーセプション・マネジメント(認識管理)の成果なのです。"で終わっていますが、「認識してもらい、認識しつづけてもらいましょう。」と。
『金銭的な関わり』とは、パーセプション・マネジメント(認識管理)の成果なのです。認識してもらい、認識しつづけてもらいましょう。
 第19節以降も興味深く拝読してまいりたいものです。
 完全に、全部の英語ニュアンスを正確に、違和感ない日本語に翻訳することは困難です。(だからこそ、プロ翻訳者は凄いものですし、お金がもらえる職業なのです)
 ココではあくまで、私の理解できた意味をご紹介してまいりたいものです。
 ゆるりとお楽しみくださいませ。
 人生の楽しみは尽きませんのぅ!はっはっはっはっ。

参考リンク先にて無料のPDFファイルを配布中。

著者: Andrew Dubber 原文英語 他
原典:The 20 things you MUST know about music online
http://www.newmusicstrategies.com/ebook/

もっと正確な日本語訳 heatwaveさんのブログ
http://peer2peer.blog79.fc2.com/blog-entry-1427.html
http://peer2peer.blog79.fc2.com/blog-entry-1624.html
ラベル:20のこと
posted by 切身魚(Kirimisakana) at 14:09| Comment(0) | 20のこと | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。